変わった「蒸し湯」として「痔蒸し」、「砂蒸し」などがある。痔蒸しは痔の多い日本人ならではの知恵の一つで、床に小さな穴が開けられ、そこに座るとちょうど下から局部に向けて温泉蒸気が当たる仕掛けになっている。瀬見温泉(山形)が有名。一般に「痔風呂」といわれている。変わったところでは、南紀の川湯温泉(和歌山)で、川原のいたる所に温泉が湧き出している。ムシロを手に肩に手拭いをかけて川原に出掛け、砂を三〇〜五〇センチ掘って、その中にムシロを敷いて日本式座位で座ればよいというもの。
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川底の石の間から温泉がボコボコ湧き出している尻焼温泉(群馬)も面白い。川そのものが温泉で、石の割れ目からボコボコ湧き出している石に座ればよいというものである。蒸し湯の酸ヶ湯(青森)などでも蒸気の出ている穴に局部を当てれば痔風呂となる。これらの痔風呂は、痔だけではなく婦人病にも有効である。砂蒸し海岸に温泉が湧き出している所で行われる浴法で砂蒸し、砂湯、砂臥湯、寝湯などともよばれる。亀川温泉(大分)、指宿温泉(鹿児島)などで行われている。熱い海岸の砂を掘ってあおむけに横たわり、再び身体に砂をかける浴法である。海の空気を吸いながらの浴法はロマンチックなものである。北海道の屈斜路湖は、かつて火山の火口であったため、湖畔の岸辺には温泉が湧いている。ここに文字どおり「砂湯」と呼ばれる温泉がある。キャンプ場としても有名で、夏には湖畔の好きな所を掘って、自由に入浴が楽しめる。外国では「サンドバス」といって室内で砂を人工的に暖め、首だけ出して埋める美容法があるが、日本では自然そのものの砂湯である。砂粒間の高温泉水のため、五〇〜六〇℃の温熱効果と、砂の重みにより血液循環が促進される。腰痛、神経痛、筋・関節の痛みの病気に有効である。また、加熱、保温効果とともに肌を美しく保つ美肌効果もある。