6月のある晴れた土曜の昼下がり、私たちは高原の小さな駅の傍らから、ペダルを回し始めた。9ヵ月ぶりに訪れたその駅前は、様子が変わっていた。昨年の秋にはまだあったはずの、店舗か何かの入った建物がひとつ消えて、テニスコートが入るくらいの更地になり、妙に駅前の風通しが良くなっていた。単線を行く汽車が入線し、ひと駅分かふた駅分か、バスツアーの途中に部分汽車旅を組み込んだツアー客が降りてくると、ひとしきり駅頭にひと気が戻り、駐車場の横に臨時で店開きした地域限定切手の売店にも人が寄るが、ツアー客を乗せてバスが出発すると、たちまちのうちに静寂が戻る。
(参考サイト)
ホテルブライトンシティ大阪北浜 - じゃらんnet
http://www.jalan.net/yad330669/
宇奈月温泉の温泉・露天風呂のある宿・ホテル - じゃらん温泉ガイド
http://www.jalan.net/onsen/OSN_50235.html
ホテルエコノ名古屋栄 - じゃらんnet
http://www.jalan.net/yad362826/
高原の乾いた夏の風が、まるでその駅前にあった建物も吹き払ってしまったかのように、通り過ぎてゆく。そして走り出してみれば、駅前にこぢんまりと集まっていた店舗や観光客相手の施設もいつしか時代の佳境を経て、閉鎖されたものや色あせた看板が、澄んだ夏の光を浴びている。昨年の、長い旅の途中で立ち寄ったときには、この、時代の風が吹き抜けたあとのようなちょっとした変化には、まったく気がつかなかったのだが。駅前を抜けて、私たちは再び線路伝いの道を辿る。辺りはもう土と野菜の色、八ヶ岳の蒼い影、線路には陽炎が立っていそうだ。きれいになった線路脇の道路に愛車を止めて、モーターサイクリストがランチを頬ばっていた。私たちのタンデム(2人漕ぎ用2座席自転車)を見て、笑顔を返してくれる。その先の、JR最高地点の踏切を渡って、標高1275米と刻まれた石碑の前でまた別のモーターサイクリストにシャッターを押してもらう。そこまでが、言ってみれば、お決まりの高原サイクリングコース。そこからが、ガイドにない旅、私たちの本当のデイトリップが始まる。